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matsutakegohan1(きゅーぞう)による、釣り、狩猟、技術?、セキュリティ?、その他の話

シカ カモ 狩猟

北海道の狩猟の思い出

投稿日:

2013年の8月に狩猟免許に合格し、9月に銃の所持許可がおり、10月に北海道の狩猟者登録が完了しました。
そしてとうとうの北海道狩猟旅行。自分をこの道に引っ張った悪い先輩方とご一緒させていただきました。

北海道の狩猟スタイルは、ひたすらランクルなどで林道を走り回り、シカを見つけたら降りてそれを追いかけて打つというスタイルです。

初日

ガイドさんをお願いして、クルマに乗せていただきひたすら移動移動移動。
しかし一切姿が見えない。この日は風がほんとうに強い。

あとで聞くところによると、強風の日はシカは木の音がうるさく、警戒できないため谷の奥の方に身を潜めているようです。
ガイドさんが何回も心折れて戻るのを提案する中、同行者が諦めてガン寝するありさま。

やり切る心を館山で学んだ私は、ひたすらポジティブ発言と日没までの運転を強要しました。
目がドライアイになるぐらい見開き、まんじりとせずパリダカより揺れる林道を走ること11時間。403キロ。
残念ながら一度も銃を手に取る機会はありませんでした。

一度だけ銃に弾を装填するシーンがありましたが、打つには至らず。
脱砲している最中にジャムるという悲しい事件が発生し、それを直している間にバネが帰って指をはさみ内出血という悲しい事故がありました。
同時に銃のメカニズムを知ることが出来たのでよかったのですが、もろもろ丁寧にせねばならないということを学びます。

そういえば、ある林道を走っている時に、ガイドさんが「熊だ」と声をかけてくれました。
見ると150キロぐらい?の熊が警戒に崖を登ってクルマから逃げていきます。
「ありゃ子グマだな、2歳か3歳だ(本当は凄まじく北海道訛り)」
「打っちゃダメですか?」
「熊は母親から打たにゃ駄目だ、子グマを打ったら切れた母グマが襲ってくる。あいつらはほんとうに早いし止まらない。銃を万が一外したら頭持っていかれるよ」
「後、あれは本当に執念深いいきものだ。俺は若い頃に2頭の熊を仕留めたことがある。」
「その後、息子二人が川で流されて失ってしまった。熊の呪いとは言わないが、必要以上に打つもんじゃない」

残念ながら打てませんでした。打てねえよそんなこと言われたら!

その後もう一度熊を目撃、30mのところでウロウロしてました。
再度打たしてくれとお願いするのはさすがに野暮でしたから見ていました。
熊を撃つのは難しいと聞いていたのですけど、こんなに簡単に射程距離に入ることに驚きました。

やりきったゆえのボウズなので後悔は少ないです。
釣りにしてもそうなのですが、考えられるベストを尽くしても成果が出ないことは山ほどあります。
考えられるベストを尽くしてというのは当たり前のことで、被選挙権を得るようなものです。
ビギナーズラックにマクラれることはよくある話ですが。トータルでは、と言う話しです。
しかしただ悔しい。

別組は見事に2頭ゲット。
合流すると、ちょうど解体を行っており、皮を剥ぎ、切り分け、生き物が肉に変わっている最中を目撃しました。
あんまりな絵なので載せないんですが、シカの不要になった部分が山のように積まれている絵は相当なものです。
でも、自分たちが食べるものはこうやって出来ているわけですから、その大切さを思い知ります。

二日目 カモ

初日と別のガイドさんにお願いして、行動開始。
朝の内に1度だけチャンスが有るも、発砲するには至らず。
これはもうダメかもわからんね、という気持ちで一度基地に戻って休憩。
イワナでも釣って遊ぼうという結論になり、川に移動中に牧草地帯でシカを2頭発見。

同行者がさくっと2頭を仕留めました。
その場で腹を割いて、ワタを出し、血抜きをする経験をします。
シカのワタは非常に大きく、心臓はまだ動いており、血がシャワーのように出ました。
ワタは外に出した後もしばらく動き続け、命の力強さを勉強します。

その後釣りに行く途中の池で、コガモが20匹ぐらい止まっているのを目撃しました。
クルマでうかつに通りすぎようとしていたところを、慌ててバックして鴨から見えないところまで引き返します。
残念ながら鴨は既に察知したように、やや警戒の行動を取っていました。

見えないところまで引き返した後、車を降り、道路から野原に降りて、冷静に冷静にと唱えながら弾を込めます。
一つ一つの弾の装填の音で鴨が逃げないように丁寧に、でもしっかり作動させないとジャムりますから。

体を低く低くして、でも万が一滑ったら銃は暴発の危険がありますから、丁寧に丁寧に距離を詰めます。
ある距離で本能が「これ以上無理!!!」と叫びます。50mぐらいでしょうか。
それに特に疑問を持たずにゆっくりと銃を構えて、矢先を確認します。誰もいない、家もない。
その瞬間、一斉に鴨が飛び立ちました。

人間、動物それぞれの野生はすごいな、とかのんびり考えている余裕がなぜかありました。

鴨は飛び立った瞬間、ホバリングのように空中で止まりました。
細かく狙っても仕方ないので、広くエリアを狙う感覚でドン、ドンと2発打ち込みます。しかし落ちません。
スラグ用のチョークですから、相当弾が広がっているせいかもと考えて、最後の一発をモノごっつい狙って、ドン、と打ち込みます。

群れの中で1羽、ふらっとした後、力なく家に落ちていきます。ものすごくそれがゆっくり見えました。
仲間が「半矢!」と叫びます。
一話の鴨が、ふらふらとこっちに向かって飛んできます。
弾はもう撃ち切ってますから、見送るしかありません。
しかし、自分の後ろ5mの道路上にポトリと落ちます。
それを仲間が走って回収してくれました。

この一部始終は別の仲間が動画でとってくれてました、落とした瞬間、僕はガッツポーズを決めていました。
朝青龍もそりゃガッツポーズ取るよね、そうおもいます。

鴨を手に取ると、やはり暖かい。
鰹釣をしてる時にかかる、ミズナギドリを外してる時の暖かさがあります。
それが急速に失われていく。自分が奪った命であることを、熱で感じます。
胸に一発の弾でした。4号だからこそ何とか止まった感じがあります。

池に落ちた1羽は、回収のため釣り竿を取りに戻って用意している間に、ネコかカラスに取られました。かなしい。

鴨はとったらすぐに処理の必要があります。
毛をむしりとり、肛門の上を5センチほど切ってワタを出します。
その後、頭や羽、足を落とします。
釣りの経験があるせいか、思ったよりさくさく行きました。
こちらは夜のBBQで塩コショウだけで炭火で焼いてみました。
実に濃厚な味で、大変おいしゅうございました。鴨南蛮食べたい。

二日目 シカ

2時過ぎに再度シカ猟を再開しました。
ひたすら山をさまよいます。
ランクルはすごいもので、木をなぎ倒しながら進みます。

狙いのエリアは、鹿の寝床の多い熊笹の茂ったところ。
そこを細かく走って、シカを起こして「え、なに、おはよう、きみだれ?」みたいに見ているところを打つという狙いです。

しばらく走っていると、急に左からオスの7歳ぐらいのシカが目の前を横切って走って逃げます。

ガイドさんが、鹿笛を吹くとピタッと止まってこっちを見ます。
これや!と思って降りて装填し、銃を向ける途中、ドン!とまさかの暴発。
興奮してしまって指がかかったのか、変に振動を与えてしまったのか。
男鹿はそれをきいて再度逃走、言い訳できないミスに心から凹みます。

同時に事故の可能性について、少し青くなります。
自分のやっていることの重みと、慎重さを心に刻みます。

30分も立った後、ガイドさんが「いるよ!」と教えてくれます。
ところが全然わかりません、どっちどっち?と言ってる間に逃げてしまいます。

「あーいっちゃった」とガイドさんが話した5秒後ぐらいに、丘を走って逃げるシカが見えました。
運転しながら、熊笹で茂った森のなかで200m先の頭だけ出ている鹿を見つける。
本職の恐ろしさを知ります。

またしばらく走っていると、ガイドさんが小声で、「居るよ、右、木の間」と教えてくれます。
30~40m先に居るということなのですが、全然わかりません。
同行者も準備をしつつ「え、どこどこ?」と言ってます。チャンスです。
とりあえず装填して降りて見ると、あれっ?とシカと目があいました。

言葉偽りなく、目が合ったのです。
シカは逃げるでもなく、ただこちらを見据えていました。
引き込まれるように目を合わせていました。

それはちょっと可愛いのです。めんこいなあ、と心で思いながら銃口をシカに向けます。
思えばよく体が、そう動いてくれたなとおもいます。
小さなツノがついてるのが見えます、オスでツノが生え変わってすぐぐらいなのでししょう。
この時逃げないと打っちゃうよ、とか訳のわからないことを考えていました。

体が硬くなっているのがわかります。銃口は上下左右に揺れて定まりません。
緊張を解くために、息をゆっくり吐きます。
7割吐いたところで、首を狙って引き金を引きます。

大きな反動と、音がします。
すぐに「ドタっ」という音が聞こえて、視界からシカが消えます。
手応えというのはこれか、そんなことを考えていました。

ランクルは恐ろしい乗り物です。
車に再度乗り込んで、熊笹だらけの山を、シカの場所まで木をへし折りながら移動します。
やがて、この辺じゃなかったかなというところまで車で来てから、同行者が降りて探してくれます。
私は高揚感から、この時はシートでぼーっとしてた気がします。

「まっちゃんおめでとー」という声で我に返りました。
彼のところまで行くと、まだビクビクと体を震わせているシカがいました。
すぐ横には、土が円形に黒くなっているところがあって、彼は寝起きすぐだったんだなということがわかります。

しばらく眺めてたり、写真をとったりしてもらいました。
ただなんとなく上の空です。やがて解体のためのゴム手袋を渡されました。
その時ようやく自分が仕留めたことを理解したんでしょう、思わずガッツポーズして叫んでいる自分がいました。

そのうちね、解体もちょっとだけやったよ!(手際悪いからお手伝いに留まった、、、)

自分が普段食べているもののうち、魚や野菜は回収から調理までだいたい理解していました。
今回はじめて肉についてそれを理解しました。
上手く言えないのですけど、結果として、ただただ様々なことへの感謝の気持。それが強く意識付けられました。

 

-シカ, カモ, 狩猟

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